研究課題
ACR11は緑色植物に広く保存されている葉緑体タンパク質で、ACTドメインというアミノ酸結合ドメインを有している。これまでの研究から窒素同化の制御に重要な役割を担っていることが明らかになってきた。acr11変異株においてはFd-GOGATタンパク質の顕著な減少が見られるが、シロイヌナズナではFd-GOGATタンパク質はglu1とglu2の2つの遺伝子にコードされている。ACR11はFd-GOGATタンパク質を翻訳後に制御していることが明らかになっていたが、どちらの遺伝子にコードされているFd-GOGATを制御しているのかについては明らかでなかった。一般的には、緑葉ではglu1が主要なアイソザイムであると考えられているが、acr11変異株においても同様にglu1が(常に)主要なアイソザイムであるかどうかは明らかでないためである。そこで、本年度はacr11におけるmRNAレベルでのglu1とglu2の比率をqPCRによって見積もった。その結果、野生型同様、acr11においてもglu1はglu2に対して5~10倍発現量が高いことが明らかになった。また、葉緑体タンパク質の質量分析の結果、Glu1由来のペプチドは(Glu2由来のペプチドと比べて)非常に多く検出されていた。これまでのデータと合わせて考えると、この結果は、ACR11が少なくともGLU1がコードしているFd-GOGATに関しては、タンパク質レベルで制御していることを意味している。GLU1とGLU2の非常に高い相同性を考えると、おそらくは両方ともに制御しているのではないかと考えている。また、glu1変異株においてFd-GOGATタンパク質と同時にACR11も顕著に減少していたが、これは両タンパク質が結合して複合体を形成することでお互いを安定化しているからであろうと考えられた。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
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