研究実績の概要 |
本研究は、脱炭酸活性が向上したプロトカテク酸脱炭酸酵素(Pdc)について、酵素活性向上のメカニズムを明らかにするとともに、高活性化Pdcと多様なリグニン系芳香族化合物を分解できるPseudomonas putida KT2440株の代謝系を利用したccMA生産微生物株を育種することを目的としている。H26年度に引き続き、(1)脱炭酸活性が向上した高活性化Pdcの生化学的諸性質の評価と、(2)高活性化Pdcを発現しccMAを蓄積するP. putida組換え体の作出とccMA生産能力評価について、H27年度の計画を実施した。 (1)脱炭酸活性が向上した高活性化Pdcの生化学的諸性質の評価:高活性化Pdcの酵素活性は4℃で24時間経過した後も80%以上保持されたが、透析処理(MWCO 3,500、4℃、16時間)により、10%以下に低下した。非組換え大腸菌の粗酵素液を限外濾過(MWCO 3,000)して調製した濾液の添加は、10%以下に低下したPdc活性をわずかではあるが有意に回復したことから、分子量3,000以下の低分子化合物がPdc活性に要求されることが示唆された。 (2)高活性化Pdcを発現しccMAを蓄積するP. putida組換え体の作出とccMA生産能力評価:新たにprotocatechuate 3,4-dioxygenaseとcis,cis-muconate cycloisomeraseを特異的に遺伝子破壊した株を作出し、高活性化Pdc、Vanillate demethylase、Catechol dioxygenase、p-hydroxybenzoate hydroxylaseを発現させた。同組換え株は、リグニン系芳香族化合物であるvanillic acid、p-hydroxybenzoic acidからccMAを高収率で生産できた。
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