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2014 年度 実施状況報告書

コリネ型細菌における長鎖脂肪酸排出輸送体の同定

研究課題

研究課題/領域番号 26850047
研究機関信州大学

研究代表者

竹野 誠記  信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (30422702)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードfatty acid transporter / C. glutamicum
研究実績の概要

産業上重要なCorynebacterium glutamicum(コリネ菌)から脂肪酸分泌生産株を取得し,同変異株の解析を進めてきた。その過程で,脂肪酸生合成遺伝子群のリプレッサーであるFasRの機能喪失が,オレイン酸を主体とする長鎖脂肪酸の高生産と分泌を同時に引き起こすことを見出した(Takeno et al., 2013. Appl. Environ. Microbiol., 79: 6776-6783)。我々はこの発見に基づいて,脂肪酸の分解代謝系であるβ-酸化経路を元来もっていないコリネ菌は,過剰合成された脂肪酸を菌体外に排出する何らかの仕組みを備えることで,細胞内の過剰蓄積を免れているものと仮説した。本研究課題はコリネ菌の長鎖脂肪酸排出輸送体を同定することを目的とする。本研究を通して脂肪酸の分泌生産に輸送体の関与を実証できれば,排出機能の育種ターゲットとしての重要性を提案できる。平成26年度は,長鎖脂肪酸排出輸送体遺伝子の特定を試みた。コリネ菌ゲノムを対象とした網羅的なin silico解析の末,合計26種の遺伝子を候補遺伝子として抽出することができた。興味深いことに,いずれの候補遺伝子もその上流域にFasRの結合モチーフ配列を有していなかった。候補遺伝子を対象に,野生株―分泌株間での比較発現解析を行ったところ,うち4遺伝子については分泌株で有意に発現量が上昇していることが判明した。目的とする排出輸送体遺伝子はこれら4遺伝子に含まれているものと考えられる。また,これらの遺伝子がFasRの支配下遺伝子でないことは,FasRの機能喪失に起因して起こる細胞内の脂肪酸過剰蓄積によって誘導される遺伝子である可能性を示唆する結果である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成26年度は,in silico解析で長鎖脂肪酸排出輸送体の候補遺伝子を抽出し,脂肪酸分泌生産株で過剰発現している遺伝子の特定を完了した。各遺伝子の機能解析にも着手したところである。当初の研究計画で策定した時間軸に従って研究を進められているため,おおむね順調に進展していると判断される。

今後の研究の推進方策

平成27年度は,前年度に脂肪酸の排出輸送体として特定された候補遺伝子の破壊および増幅実験を行い,脂肪酸の分泌生産能や生理にどのような影響を及ぼすかを調べる。また,既知の大腸菌の脂肪酸生産菌を宿主とした異種発現を行い,脂肪酸生産への影響を検討する。なお,同大腸菌株はすでに譲渡を受けている。

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公開日: 2016-06-01  

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