コリネバクテリウム・グルタミカムの脂肪酸分泌生産株を題材に,長鎖脂肪酸の排出輸送体の同定を試みた。目的の輸送体の候補遺伝子を4種抽出し,これらの単独および多重破壊を分泌株で実施した。4重破壊株では,脂肪酸非生産条件下では生育に影響が見られなかったのに対して,脂肪酸分泌生産条件下では生育が著しく悪化することを突き止めた。各候補遺伝子の単独破壊株のうち,1つの候補遺伝子の単独破壊株のみが,形質転換株間で個体差はあるものの4重破壊株と類似の傾向を示した。以上から,この遺伝子が脂肪酸排出に関わる有力候補であると考えられる。なお,現時点では,他の3遺伝子のいずれか1つ以上が関与している可能性も残る。
|