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2016 年度 実績報告書

アーキアにおけるイノシトールキナーゼとリン酸化イノシトールの生理学的役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26850049
研究機関京都大学

研究代表者

佐藤 喬章  京都大学, 工学研究科, 助教 (60571411)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードイノシトール / キナーゼ / アーキア / 高温ストレス適応 / 適合溶質
研究実績の概要

本研究ではアーキアにおけるmyo-inositol kinaseの生理学的役割の解明を目的として研究を行った。
初年度および2年目までには、本酵素がinositolの6つのヒドロキシル基の内3位をリン酸化し、inositol 3-phosphate(Ins3P)を生成することを明らかにした。Ins3Pはヒートショックなどに対応するための適合溶質の生合成基質になり得る。また、超好熱性アーキアThermococcus kodakarensisにおいて本酵素をコードする遺伝子の破壊株を作製・解析したところ、解糖・高温条件(90℃)で増殖が悪化すること、および熱変性したタンパク質の折り畳みに寄与し得るprefoldinの転写量が増加していることを明らかにできた。また、本遺伝子の発現量が高温条件下の培養で亢進することも明らかとなった。これらのことから、本酵素は高温ストレス適応機構に寄与していることが示唆された。
最終年度は、本機構の分子メカニズムの解明のため、メタボローム解析を中心に研究を進めた。まず宿主株および本遺伝子の破壊株を上記の増殖に差が出る条件で培養し、各細胞から、適合溶質を含む化合物群を抽出した。抽出化合物群のNMR解析の結果、宿主のみで大きくなるケミカルシフトが見出された。これはserineである可能性も考えられたため、serine生合成および代謝経路の解明を進めたが、本酵素とは異なるkinaseが機能していることが明らかとなった。そこで、宿主特異的に検出される化合物の同定を目指し、抽出化合物群のHPLC解析を進めた。その結果、宿主株で特異的に検出されるピークを見出すことができた。その化合物の同定を進めた結果、200-210 nm付近に吸光を示すことが分かり、またLC-MS解析によってその分子量を同定できた。さらに、HPLCによる精製条件を確立し、精製化合物のNMR解析を行った。その結果、本化合物はリン原子を含むことが示唆された。今後、本化合物の構造決定を行い、論文を作成する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] An archaeal ADP-dependent serine kinase involved in cysteine biosynthesis and serine metabolism2016

    • 著者名/発表者名
      Yuki Makino, Takaaki Sato, Hiroki Kawamura, Shin-ichi Hachisuka, Ryo Takeno, Tadayuki Imanaka, and Haruyuki Atomi
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 7 ページ: 13446

    • DOI

      10.1038/ncomms13446

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 超好熱性アーキアにおけるmyo-inositol kinaseの同定と解析2016

    • 著者名/発表者名
      佐藤 喬章、藤橋 雅宏、永田 隆平、宮本 幸花、桑田 啓子、日下 絵里子、藤田 春雄、三木 邦夫、跡見 晴幸
    • 学会等名
      第17回極限環境生物学会年会
    • 発表場所
      東京工業大学すずかけ台キャンパス
    • 年月日
      2016-11-26 – 2016-11-26
  • [学会発表] Functional characterization of three ribokinase family proteins in the hyperthermophilic archaeon Thermococcus kodakarensis2016

    • 著者名/発表者名
      Takaaki Sato, Riku Aono, Masahiro Fujihashi, Yukika Miyamoto, Keiko Kuwata, Eriko Kusaka, Haruo Fujita, Kunio Miki, Tadayuki Imanaka, and Haruyuki Atomi
    • 学会等名
      The 14th China-Japan-Korea Joint Symposium on Enzyme Engineering
    • 発表場所
      Guangxi Wharton International Hotel, Nanning, China
    • 年月日
      2016-11-17 – 2016-11-17
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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