研究課題
poly(ethylene terephthalate)(PET)分解・代謝細菌より同定した二種の新規酵素PETase(PET加水分解酵素)とMHETase(mono(2-hydroxyethyl) terephthalic acid加水分解酵素)の機能同定、機能改良を目的とした。昨年度、PETaseの大量発現系およびタンパク質の可溶化法の確立について報告した。本年度は、本方法を用いて精製タンパク質を調整し、タンパク質構造解析のための結晶化スクリーニングを実施した。現在までのところ、結晶化に適した条件を見出せていないため、精製タンパク質の調整方法やスクリーニング条件の見直しを進めている。一方で、MHETaseに関して、結晶化に向けた可溶性タンパク質の大量調整法の検討を行った。各種ベクター、大腸菌ホスト、培養条件の組み合わせにおいて良好な条件を見出すには至らなかったが、尿素を用いたケミカルリフォールディングで有効な条件を見出した。現在、同条件で調製した精製タンパク質を用いて結晶化スクリーニングを実施している。また、昨年度に引き続き、界面活性剤の添加によるPETase活性の向上を検討した。その結果、SDSなどのアニオン性の界面活性剤、Triton X-100などの非イオン性の界面活性剤がPETaseのPET加水分解活性を顕著に向上させることがわかった。これら界面活性剤は酵素の疎水的な固体基質への接触性を向上させていると考えられるが詳細は明らかではない。現在、この結果をヒントにPETaseの酵素化学的メカニズムについて種々解析を行っている。
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Science
巻: 353 ページ: 759
10.1126/science.aaf8625