研究課題/領域番号 |
26850058
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
藤井 達也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 機能化学研究部門, 主任研究員 (10613549)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 糖化酵素 / セルラーゼ / タラロマイセス・セルロリティカス / アクレモニウム・セルロリティカス / 転写因子 |
研究実績の概要 |
本研究では、糸状菌タラロマイセス・セルロリティカス(旧称アクレモニウム・セルロリティカス)が生産する糖化酵素群について、その遺伝子発現機構の解析を試みる。 1)新規な転写因子の検索 昨年度までに、相同組み換え能が劇的に上昇した宿主株の作製に成功し、これを用いてエンドグルカナーゼ遺伝子の転写に重要な領域(約300 bp)を見出した。今年度は、まず始めに、当該領域をさらに200 bpまで絞り込んだ。次に、この200 bpを数十bpずつ分割し、これらに結合する核タンパク質を探索した。その結果、12種類のタンパク質を同定することに成功した。現在、これら12種類のタンパク質のうち、糖化酵素遺伝子の転写に関連性があるものを探索している。
2)他の糸状菌で知られる転写因子の解析 昨年度までに、tacAおよびtctA遺伝子が本菌の糖化酵素遺伝子の発現に重要な役割を持つことを明らかとした。さらに、Hap complexやAreAといった、糖化酵素遺伝子を含む広範な遺伝子を制御することが予測された転写因子について遺伝子破壊株を作製した。今年度は、これらの遺伝子破壊株の各種表現型を解析した。その結果、Hap complex、AreAともに酵素および遺伝子レベルで糖化酵素の生産に影響を及ぼすことが明らかとなった。さらに、AreA遺伝子破壊株は様々な条件下での生育が野生型株のそれよりも悪く、糖化酵素生産だけでなく様々な遺伝子の発現に寄与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に得られた計画への基礎データを更に発展させ、さらに新規転写因子の候補となるタンパク質を12種類同定したため。また、新たに2つの転写因子が本菌の糖化酵素生産に関与することを明らかとしたため。
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今後の研究の推進方策 |
新規な転写因子の単離・解析および、既に糖化酵素遺伝子への発現を明らかとしている転写因子の機能解析を引き続き進める。また、得られた成果の対外発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に外注分析を依頼することにより残額を0円と予定していたが、分析後に一部解析不能なサンプルが存在することが明らかとなり、予定金額よりも低くなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
分析不能となったサンプルの再解析や対外発表の費用として使用予定。
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