研究課題/領域番号 |
26850059
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐分利 亘 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00598089)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | エピメラーゼ / オリゴ糖 / 部位特異的変異 / 基質特異性 / 反応特異性 |
研究実績の概要 |
Rhodothermus marinus由来セロビオース2-エピメラーゼ (RmCE)の基質との複合体構造に基づき、基質特異性を決定づける構造因子の解析を行った。RmCEにおいて二糖に対する高い特異性を導くアミノ酸残基として,Trp385およびAsp188を予想し,アラニンへの置換体であるW385AおよびD188Aを解析した.その結果,これらの変異酵素では単糖への選択性の向上,すなわち二糖特異性の低下が確認され,注目したアミノ酸残基が二糖への高い選択性に重要であることが明らかになった.RmCEはN-アセチルグルコサミンのエピメリ化を触媒するアシルグルコサミン2-エピメラーゼ (AGE) と構造的類似性を示す.これらの酵素を比較すると,RmCEにおいて還元末端等残基の2位水酸基と相互作用するアミノ酸残基,Tyr124,Asn196およびHis200,がAGEの相当残基と異なっており,CEとAGEにおける基質構造への認識の違いを導くことが予想された.このため,これらをそれぞれアラニンに置換した変異酵素を作製した.作製した変異酵素ではいずれも酵素活性の著しい低下がみられた.4-O-β-グルコシル-N-アセチルグルコサミンを基質として,野生型酵素と各変異酵素をそれぞれ作用させたが,いずれも活性が見られず,1アミノ酸置換では還元末端N-アセチルグルコサミン残基へのエピメリ化活性を付与することができなかった.この基質特異性の解析の過程で,興味深いことに野生型酵素がわずかにラクチュロースをエピラクトースに異性化する活性があることが見いだされ,さらにN196A変異体ではこの異性化反応への選択性が向上していることが示唆された.このことについて,さらに詳細に解析を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,Rhodothermus marinus由来セロビオース2-エピメラーゼを用いて基質鎖長特異性並びに基質構造に対する特異性を決定づける構造因子の解析を予定していたが,解析を予定していた変異酵素についてはすべて生化学的解析を完了しており,計画通り順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
Rhodothermus marinus由来セロビオース2-エピメラーゼ (RmCE) と配列同一性が高いCaldicellulosiruptor saccharolyticus由来CEはエピメラーゼ活性だけでなく,アルドースとケトースの間の異性化活性も持つ。このため,これらの反応特異性の違いを導く構造因子の解明を目指す.また,RmCEはいくつかの単糖異性化酵素と構造的類似性を示し,中には機能未知タンパク質が含まれている.これらの未知タンパク質に新規機能を期待し,生化学的機能解析を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
3月中納品,4月末支払い分が計上されていないため次年度使用額として3,763円が計上されているが,年度内での執行は完了している.
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次年度使用額の使用計画 |
年度内の使用が完了しているため (4月末支払い),次年度中の執行の予定はない.
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