研究課題
本研究では、4-ヒドロキシ桂皮酸(4HCA)と3,4-ジヒドロキシ桂皮酸(DHCA)から成る芳香族ポリエステルpoly(4HCA-co-DHCA) (4CDP)をモデル基質として、新規芳香族ポリマー分解菌および酵素を探索し、その分解機構を解明することを目的とする。更に、ポリマーの効率的リサイクル法の開発に向け、試験的なシステムを確立することを目指している。前年度までに、Aspergillus niger由来の市販のペクチナーゼ試薬から、4CDP分解活性を持つ酵素を高純度に精製することに成功した。MALDI-TOF MS解析の結果、本酵素はA. niger由来の機能未知タンパク質(EHA22274)であることが示された。そこで、4CDPのリサイクルシステムでの使用を見据え、Aspergillus oryzaeを宿主としたEHA22274の分泌発現系の構築を試みることとした。平成28年度は、前年度までに構築した発現プラスミドを用いて、A. oryzaeの形質転換に取り組んだ。当該プラスミドを、プロトプラスト-PEG法によりA. oryzaeに導入し、薬剤耐性を指標に形質転換体を選択した。純化操作を経て得られた4株に対し酵素活性の検討を行った結果、4株中1株が培地中に目的の酵素を分泌していることが確認された。一方、酵素の反応機構の解析に関しては、前年度に精製した酵素標品を用いて、基質特異性の検討を行った。4HCAまたはDHCAのみから成るポリマー標品を基質として酵素アッセイを行ったところ、分解活性は認められず、EHA22274は4HCAとDHCAが連結した構造部分を特異的に切断している可能性が示唆された。また、4CDPと部分的に構造が類似した6種類の小分子化合物を用意し、これらを基質とした酵素アッセイを行ったが、いずれの化合物についても分解は認められなかった。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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