本研究課題は1)脂肪滴に対するオートファジーの分子機構の解明と2)液胞由来脂質リサイクリング経路の解明を主要な目的として始められた。 (1)に関して、本年度研究においては、生育炭素源の変換と他の栄養源、特に窒素源の減少とが共に起こる培養条件において、脂肪滴に対するオートファジーが顕著に誘導されることが分かった。このオートファジーの誘導は、蛍光顕微鏡観察による形態学的解析のほか、脂肪滴局在タンパク質の分子量変化によっても検知された。 (2)に関しては、前年度までに見いだしていたAtg15タンパク質欠損による脂肪滴量の減少を、さらにリポリシスに機能するリパーゼ欠損により抑制すると、細胞の生存率が上昇することを見いだした。このことは脂肪滴量のホメオスタシス維持が細胞生存に果たす機能を示唆している。
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