研究課題/領域番号 |
26850066
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
大沼 貴之 近畿大学, 農学部, 講師 (60446482)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | キチナーゼ様タンパク質 |
研究実績の概要 |
シロイヌナズナキチナーゼ様タンパク質(Chitinase Like Protein)AtCTL1、AtCTL2およびイネのOsCTL1と結合する糖鎖分子を相互作用解析により同定するため、またCTLタンパク質による糖鎖認識機構を明らかにするために実験を行った。アミノ酸配列の解析の結果、各CTLタンパク質はN末端シグナル配列、膜貫通ドメイン、ファミリーGH19キチナーゼ様ドメインとC末端領域から成ることがわかった。初めにN末端シグナル配列を除く全長タンパク質をpLac I遺伝子をもつ大腸菌SHuffleを用いて発現させた。しかし発現されたCTLタンパク質は大腸菌細胞質内でoverexpressionされたものの、その全ては不溶性タンパク質として発現されたことから、適切な立体構造にフォールディングされなかったものと考えられた。その為、ファミリーGH19キチナーゼ様ドメインのみを発現させるように発現ベクターを再構築し、可溶性タンパク質として発現させることを試みたが、現在までに達成できていない。この際、発現タンパク質においてジスルフィド結合が形成されやすい大腸菌Origami(DE3)、SHuffle、膜タンパク質の発現に適しているC41(DE)、C43(DE3)、シャペロン活性が期待でき低温でも発現誘導が可能なArcticExpress(DE3)を発現用宿主として用いたが、発現されたタンパク質は全て不溶性であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに大腸菌を用いて、CTLタンパク質の類似タンパク質であるファミリーGH19キチナーゼの発現、精製および機能解析に成功していた。それ故、同様の発現系を用いて比較的容易に組換え型CTLタンパク質が得られるものと予測していた。しかしながら、CTLタンパク質は大腸菌細胞質内では機能を保持した可溶性タンパク質として発現されず、研究の進行が停滞している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題において、精製した組換え型CTLタンパク質を数ミリグラム得ることは必須であることから、発現系の改良に努力する。具体的には、組換え型CTLを可溶性タンパク質として発現させるために、融合タンパク質として発現させることを検討している。融合させるタンパク質としては、GST(グルタチオントランスフェラーゼ)、SUMO(small ubiquitin-related modifier)、チオレドキシン等を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初研究初年度に組換え型タンパク質の大量生産を完了し、結晶化および機能解析を行うことを計画していた。しかしながら、タンパク質調製が上手く行っておらず、これらの実験が行えていない。そのため、初年度に購入予定だった結晶化試薬および相互作用解析に用いるオリゴ糖試薬をまだ購入しておらず、残金が発生した。次年度はこのような問題をいち早く解決し、来年度の購入計画と合わせて、申請通り物品購入を行う予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
結晶化スクリーニング試薬(55万円)、オリゴ糖試薬(65万円)、遺伝子実験試薬(20万円)
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