研究課題
植物が生産するストリゴラクトン(SL)は、アーバスキュラー菌根菌(AM 菌)および根寄生雑草の宿主認識シグナル分子であり、さらには植物地上部および地下部の形態形成を制御する植物ホルモンである。本研究では、各種植物の内生および体外に分泌される主要なSLの立体構造を精査・解明し、植物の生育条件および生育ステージにおけるSLの質的、量的な変動を明らかにする。本年度はシロイヌナズナ、キュウリ、エンドウ、ヒメヅリガネゴケの野生型と変異体を個別に栽培し、LC-MS/MS分析のより、それぞれ生産するSLの定性および定量を行った。さらに、キュウリとエンドウの水耕液を3日ごとに回収し、それぞれ生産するSLの経時的な変化を調べた。この他に、エンバクとトウモロコシから、それぞれ極めてユニークな構造を有するavenaolとzealactoneを単離・構造決定した。これら新種SLは共に典型的なSLより炭素数が1つ多いC20化合物であり、SL生合成中間体であるcarlactoneの誘導体と考えられる。現在他の植物についてもcarlactoneの誘導体の有無を調べている。
1: 当初の計画以上に進展している
初年度は計画通りに、シロイヌナズナ、キュウリ、エンドウ、ヒメヅリガネゴケの野生型と変異体がぞれぞれ生産するSLの立体構造解析を行った。さらに、当初予定していなかった、それぞれの植物が生産するSLの経時的な変化も調べられて、計画以上な進展が得られている。
これまでの研究成果にふまえて、より多くの植物種が生産するSLの立体化学の解明を取り込む。また、当初予定していなかった植物生産するSLの経時的な変化も取り込んで行う予定である。
本年度に植物の抽出物を精製するシリカゲルカートリッジ(合計13万円)を購入する予定だったが、精製する段階に至っていないため、購入してなかった。その分を次年度の使用に繰り越した。
植物の抽出物を精製する段階になっているため、予定より遅れているが、実験計画とおりにシリカゲルカートリッジを購入する。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
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