研究課題/領域番号 |
26850072
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
野村 泰治 富山県立大学, 工学部, 講師 (40570924)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | チューリッポシド / チューリッパリン / チューリッポシド変換酵素 / 二次代謝 / 生合成 / 酵素 |
研究実績の概要 |
グルコースの6位水酸基がアシル化された糖エステル化合物である6-チューリッポシド(Pos)A, Bはチューリップの主要二次代謝産物であり、チューリップ組織内在のPosA変換酵素およびPosB変換酵素によって、ラクトン化体である抗菌活性物質チューリッパリン(Pa)A, Bへとそれぞれ変換される。本研究ではこれまで明らかにされていない6-Pos類の生合成経路のうち、グルコースのアシル化プロセスの解明を目指している。今年度はまず、チューリップの栽培品種と原種について、球根の植え付けから開花期までの生活環を通して、組織別にPos含有量の経時変動を調べた。その結果、原種のいくつかの組織において、6-Pos類の生合成が顕著に活性化される生育ステージを見出すことができ、6-Pos類の変動と想定される生合成中間体の変動に相関があることが示された。当該組織から調製した粗酵素を用いて、想定される6-Pos生合成酵素活性を検出するためには、内在のPos変換酵素を不活化した状態で酵素反応を行う必要がある。そこで、PosA変換酵素とPosB変換酵素に対するポリクローナル抗体を用いて、粗酵素中のPos変換酵素活性の不活化を試みた。その結果、PosA変換酵素活性については定量的に不活化する条件を見出すことができたが、これまでのところPosB変換酵素活性については、十分な不活化がなされていないことから、さらなる条件検討が必要である。これと並行して、6-Pos生合成が活発な組織のRNA-seq解析を行い、トランスクリプトームデータベースを整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
目的とする6-Pos生合成酵素活性を粗酵素中に検出するために必要なPos変換酵素の不活化条件の決定に至っておらず、初年度に計画していた生合成酵素活性の測定法の確立がまだできていないため、当初計画に対する進捗度合いとしてはやや遅れているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
抗体を用いて粗酵素中のPosB変換酵素を不活化するための条件検討を行う。使用している抗体は組換えPosB変換酵素を抗原として作成したポリクローナル抗体であるが、同抗体による不活化が難しい場合には、新たにペプチド抗体を作成するなどして対応していく予定である。それによってPosA, PosB両変換酵素の不活化条件が決定され次第、生合成酵素活性の探索を進めていく予定である。また、酵素精製からのアプローチが困難な場合には、26年度に整備したRNA-seqデータベースから候補遺伝子をピックアップし、その機能解析を行うことで、目的の生合成酵素を同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の支出は、酵素の性状解析の際に用いる基質アナログの化学合成の外部委託費によるものである。次年度以降、ポリクローナル抗体作成の外部委託費、タンパク質の部分アミノ酸配列解析の外部委託費が必要となることが見込まれるため、26年度は上記以外の支出をせず、残額は次年度に持ち越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
主として、ポリクローナル抗体作成およびタンパク質の部分アミノ酸配列解析の外部委託費として使用することを計画している。
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