研究課題/領域番号 |
26850073
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
北畑 信隆 東京理科大学, 理工学部, 助教 (10435646)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 植物免疫活性化剤 |
研究実績の概要 |
本研究は見いだした候補化合物、特にジャスモン酸経路を活性化する化合物の作用機構を明らかにすることを目的としている。ジャスモン酸とサチリル酸は互いに拮抗的に働いていることから、ジャスモン酸経路を活性化する候補化合物の中には、サリチル酸経路を抑制することで、その作用を誘導する化合物が含まれている可能性がある。そこで、サリチル酸生合成欠損変異体sid2、シグナル伝達欠損変異体npr1における候補化合物が活性酸素の生成を亢進するか調べた。その結果、ジャスモン酸経路のみを活性化する化合物の一部に活性酸素の亢進が見られなくなった化合物が含まれていた。これらの候補化合物はサリチル酸経路の抑制を介してジャスモン酸経路を活性化していると考えられた。一方、サリチル酸経路を活性化する化合物についてもsid2、npr1を用いた解析を行った。すでにサリチル酸経路を活性化することが報告されている既存の免疫活性剤であるはBTH、プロベナゾールは、flg22誘導性のROS生成を亢進しない一方で、候補化合物で処理した場合はnpr1変異体においてもflg22誘導性のROS生成が亢進した。これらの結果は、サリチル酸経路を活性化する少なくとも2化合物は既存の植物免疫活性化剤とは異なる作用機構により、防御応答を亢進していると考えられた。また、化合物の作用機構についてさらなる知見を得るために、化合物耐性変異体のスクリーニング系の構築に取り組み、活性酸素を指標とした選抜系を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シロイヌナズナ植物体を用いた化合物評価系・変異体スクリーニング系・耐病性検定など実験系の構築にやや時間を要したため、申請書に記載した平成26年度の研究計画の内容からはやや遅れて推移している。しかしながら、最適な実験系が構築できたことで、平成27年度は研究が飛躍的に進展することが見込まれるため、本申請課題で申請した研究目標は十分達成できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度において構築した実験系を用いて、化合物の作用機構解析を進めてゆく。化合物の構造活性相関については化合物の合成から購入にシフトすることで時間の短縮を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請した実験計画では、化合物の作用機構の解析と構造活性相関研究を並行して行う計画であったが、平成26年度は作用機構の解析を優先し研究を推進したことで、有機合成に係る費用として申請していた予算を使用せず、次年度への繰り越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は構造活性相関を中心に研究を推進するため、当初の計画どおり、予算を執行する予定である。
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