研究課題/領域番号 |
26850076
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
前多 隼人 弘前大学, 農学生命科学部, 助教 (80507731)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | カロテノイド / キサントフィル / 脂肪酸 / 抗酸化 / 肥満 |
研究実績の概要 |
食品に含まれるカロテノイドの消化吸収に対する脂肪酸の影響を検討し、カロテノイドの体内での利用を高める脂質を明らかにすることを目的として研究をおこなった。カロテノイドは摂食後、食事中の脂質と腸管内でミセルを形成し吸収される。本研究では特に食品中の含まれる脂肪酸に着目し、脂肪酸の鎖長や不飽和度などによる物性の違いがカロテノイドの吸収に与える影響について検討をおこない、以下の知見を得た。 1. 異なる食用油とカロテノイドを混合した飼料をマウスに投与し、カロテノイドの組織への蓄積量の違いについて評価した。大豆油、中鎖脂肪酸油、魚油にβ-カロテンを混合した飼料を投与したが、β-カロテンは齧歯類では吸収が悪く、肝臓や白色脂肪組織へのカロテノイドの吸収量に差が認められなかった。引き続き極性の違うカロテノイドと組み合わせた飼料を投与した場合の蓄積量を検討している。 2. Caco-2細胞を小腸上皮用細胞に分化させた後、異なる脂肪酸で調製したカロテノイドとの混合ミセルを添加し、細胞へのカロテノイドの蓄積量をHPLCで定量している。現在条件検討中ではあるが、物性の似たカロテノイドとの組み合わせの方が高い吸収性を示す傾向を得ている。次の段階として、細胞膜の透過性に対する効果を評価するための実験系の構築を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物試験にて投与するためのカロテノイドの調製に時間を要したが、初年度中に投与試験をすることができた。また、小腸上皮細胞膜への細胞試験による吸収性の評価も予定通り進行していることから、カロテノイドや脂肪酸の組み合わせを替えた試験を進め、吸収性の違いについて評価を進める計画である。
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今後の研究の推進方策 |
分析中の他のカロテノイド含有飼料投与したマウスの臓器中のカロテノイドやその代謝物の蓄積含量の分析を進める。また、小腸でのカロテノイドの吸収性に関与するたんぱく質の発現量の変化についての分析もおこなう。トランズウェルを用いた膜透過性の実験系の構築に時間を有した場合は、28年度に実施予定のカロテノイドの種類を増やした実験を先行しておこなうことにする。
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