研究課題
本研究では食物繊維の摂取が腸管絵免疫系に与える影響について解析を行った。具体的には，食物繊維の摂取が小腸パイエル板の数，サイズに与える影響および腸管粘膜サイトカイン発現に与える影響についてラットを用いて解析を行い，以下の結果を得た。1）DF摂取によるパイエル板の個数およびサイズへの影響Wistar系雄ラットに8％の小麦ふすまを含む飼料を摂取させた小麦フスマ群と食物繊維を含まない飼料を摂取させた対照群を設け，7日後に解剖を行った。その結果，パイエル板の数には食物繊維摂取群と対照群との間に差はなかった。一方，パイエル板のサイズを解析した結果，食物繊維摂取群のパイエル板サイズは対照群と比べ，小腸下部でのみ有意に大きくなることを見出した。2）Wistar系雄ラットに4％のグアガムを含む飼料を摂取させたグアガム群，8%の小麦ふすまを含む飼料を摂取させた小麦ふすま群と食物繊維を含まない飼料を摂取させた対照群を設け，１４日日後に解剖を行った。小腸各部位におけるサイトカイン発現量の測定を行ったところ，グアガム群および小麦ふすま群の空腸中央部，回腸中央部および回腸末端部でIL-17発現量の顕著な上昇が認められたほか，いくつかの炎症性サイトカインの発現変動が明らかとなった。また，これらの変化はグアガム群と小麦ふすま群都の間で完全には一致しなかった。3)2)で認められた炎症性サイトカイン発現の上昇は長期摂取時にも同様に認められることが明らかとなった。
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