重合ポリフェノールのインクレチン効果の解明を行った。重合ポリフェノールとしてプロシアニジン高含有組成物をマウスに投与すると、投与一時間後に血中GLP-1とアディポネクチンの分泌が促進することを明らかにした。この効果は、投与するタイミングによって異なり、明記開始時で効果が高いことが明らかとなった。体内時計を司る時計遺伝子が関与する可能性が示唆された。GLP-1によるインスリン分泌の促進が時計遺伝子の位相を全身させている可能性が示された。また、テアフラビンを投与した際にも、高血糖抑制効果を発揮して筋肉でのGLUT4細胞膜移行を促進していることが判った。テアフラビンを投与するとカテコールアミンの分泌も促進していた。つまり、重合ポリフェノールは消化管を初発段階として、アディポサイトカインやカテコールアミンの分泌を促進して、糖代謝に寄与している可能性が示唆された。その標的分子探索として、GLP-1レセプター阻害剤を投与したが、プロシアニジンの分子ターゲットはGLP-1分泌だけではなく、別の経路も存在する可能性が示された。重合ポリフェノールの分子標的の探索を行う実験系確立を試みた。分析系を構築するためのモデルとして、カテキンとアルブミンの結合を調べた。その結果、カテキンの3位がアルブミンの分子表面と薬物結合サイトにあるトリプトファン残基との結合に重要であり、エピガロカテキンガレートでは、ガレートエステルとこれらのトリプトファン残基とが結合していることを明らかにした。
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