研究課題
骨格筋は運動によりその質と量をダイナミックに変化させることが分かっているが、この変化が食肉としての特性にどの程度影響を与えるかは不明である。本研究では、マウスをモデル動物として最適な運動量を解析し、それを豚に還元することで、「運動」と「食肉の美味しさ」について、物質・物性面での相関関係を明らかにし、運動が食肉の美味しさにどのような影響を与えるのか定量的に解析することを目指す。最終年度は、豚を対象に移し、以下の研究を行った。九州の放牧農場で育てた豚肉を購入し、「運動ブタ肉」群とした。また、通常の環境で飼育された国産豚肉を購入し、「コントロール群」とした。ロース肉厚さ1 cm、グリルで調理し、加熱終了後、サンプル片に小分けした。1試料につき二切れを1人分として被験者に提示した。肉の味、やわらかさ、多汁性、香りなど各項目の評価を行ったが、二群間で各項目に有意な差異は認められなかった。これは各項目のばらつきが大きかったことが一因として挙げられる。豚の年齢、系統などに統一性がなかったため正確に比較が行えなかったためであると推察される。そこで、豚の素性を統一し、同一機関で同様に飼育したものを二群に分け、片方には、一定期間放牧させ、「運動ブタ群」とした。もう片方は畜舎で通常飼育をし、「コントロール群」とした。両者から得られた豚肉に、焼く・揚げる・煮るの調理を施し官能評価を行った結果、いずれの調理法においても、運動ブタ群の肉の呈味性がアップしている傾向が確認された。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Physiological Reports
巻: 3 ページ: e12553
10.14814/phy2.12553
食肉の科学(日本食肉研究会)
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