研究課題
昨年度は、ケルセチン処理により抗炎症活性が増強されるB. adolescentis 1275株および活性が変動しない1251株についてプロテオームにより比較し、変動するスポットを同定した。今年度はまず、ケルセチンと同様に抗炎症活性増強効果を示すポリフェノール(EGCg、タキシフォリンおよびフロレチン)について、1275株に対する影響をプロテオームで解析し、ケルセチンと同様に変動するタンパク質スポットの探索を行った。共通して変動するタンパク質は抗炎症活性に関与すると予想して解析を進めたが、今回検討した3つのポリフェノールを処理したB. adolscentisではいずれも変動タンパク質の数がケルセチンよりも少なく、また、共通して変動したものも見られなかった。この結果から、ポリフェノールによるB. adolescentisの抗炎症活性増強効果は、菌体内タンパク質を介さない経路、もしくは、それぞれ異なる経路で誘導している可能性が考えられた。そこで次に前者の可能性に注目し、膜タンパク質との相互作用に関する解析に取り組んだ。まず、ポリフェノールが菌体に結合するかどうかについてレドックスサイクル法(アルカリ条件下、ポリフェノールのようにカテコール構造を持つ物質によって濃度依存的にホルマザンが還元されて呈色する)により検討した。その結果、ポリフェノールは1275株に結合し、その結合量は不活性株の1251株では1/8~1/25程度と低値を示したことから、ポリフェノールの菌体への結合が抗炎症活性増強効果に重要である事が示唆された。さらに、膜タンパク質画分を調製し、ドットブロットした膜をレドックスサイクル染色したところ、ポリフェノール添加群で染色された。これらの結果は、ポリフェノールの標的分子が存在することを強く示唆しており、作用メカニズムの解明に向けて重要な知見であると考えられる。
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Journal of Nutritional Science and Vitaminology
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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Tetrahedron
巻: 72 ページ: 5602-5611
10.1016/j.tet.2016.07.050
http://www.nutr.kobegakuin.ac.jp/~foodsci/