研究課題
最終年度である今年度は、L6筋管細胞において酢酸がAMPKを活性化する経路にGPR43が関与しているかを調べ、GPR43の下流にカルシウムシグナルが関与しているかを調べた。また、酢酸の代謝酵素の一つと考えられていたAcyl-CoA synthetase short chain member (Acss) 3の機能を一部明らかにした。酢酸あるいはGPR43アゴニストをL6筋管細胞に作用させたところ、AMPKのリン酸化が引き起こされ、GLUT4、MEF2Aの発現が上昇した。それらの反応はgpr43に対するsiRNAの処理によって阻害された。また、酢酸処理あるいはGPR43アゴニスト処理によってL6筋管細胞内のカルシウムレベルが上昇し、その反応にGRP43が関与することも分かった。酢酸処理によって引き起こされる下流反応は、CaMやCnの阻害剤処理によって阻害され、カルシウムシグナルが関与することが明らかとなった。以上のことから、L6筋管細胞において酢酸で引き起こされるAMPKの活性化には、酢酸がAcetyl-CoA合成酵素によって代謝される際に生じるAMPの増加のみならず、GPR43の活性化により稼働するカルシウムシグナルも関与していることが明らかとなった。L6筋管細胞において発現している酢酸を代謝すると考えられるacetyl-CoA合成酵素(Acss)のうち、機能未知であったAcss3についてクローニングを行い、酵素学性質を決定した。ACSS3は酢酸を基質とするACSS1、2とは組織分布と基質特異性が大きくことなり、プロピオン酸を基質とする肝臓ミトコンドリアの酵素であることがわかった。また、肝臓における発現は飢餓状態で上昇することも突き止めた。この結果はACSS3が肝臓ミトコンドリアマトリックスのpropionyl-CoA synthetaseであることを示している。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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