研究課題/領域番号 |
26850088
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
加藤 正樹 中部大学, 応用生物学部, 研究員 (50722104)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Glucagon-like peptide-1 / 糖尿病 / クルクミン |
研究実績の概要 |
日本人は元々インスリンの分泌能力が低く、日本人に適した2型糖尿病治療法の開発が進められている。近年、食事摂取に伴い消化管から分泌され、膵β細胞に作用してインスリン分泌を促進するペプチドホルモンであるGLP-1(Glucagon-like peptide-1)の関連薬が日本人の2型糖尿病治療戦略として脚光を浴びている。我々はこれまでにターメリックに含まれる黄色色素であるクルクミンによるGLP-1分泌促進作用を細胞レベルで明らかにしたが、その詳細な作用機序は不明である。そのため本研究の目的は、クルクミンによるGLP-1の分泌促進作用とその分子機構解明を、細胞表層のクルクミン結合・作用タンパク質の同定、動物個体での作用から明らかにすることである。 細胞表層のクルクミン結合・作用タンパク質を同定するためにsiRNAによるノックダウンを試みたが、現時点ではそのタンパク質を同定できていない。また、動物個体へのクルクミンの投与はGLP-1分泌を増加することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞レベルでは、クルクミンによるGLP-1分泌促進に関与する細胞表層標的タンパク質を特定するため、siRNAによるノックダウンを試みた。しかし、siRNA導入に多大な時間を費やしてしまったため、細胞表層タンパク質の特定には至っていない。 動物レベルでは、クルクミンによるGLP-1分泌促進作用を明らかにし、血糖値上昇抑制作用についても確認した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定より若干の遅れがあるが、当初の計画通り候補タンパク質の発現をsiRNAによりノックダウンし、クルクミンによるGLP-1分泌促進に関わる細胞表層タンパク質を明確にする予定である。また、複数の候補タンパク質の関与を並行して調べていくことにより、遅れを取り戻すことができると考えている。候補タンパク質の特定後、細胞への過剰発現またはプルダウンアッセイおよび、ドッキングシミュレーションを行うことにより候補タンパク質の関与を明確にする予定である。 動物実験に関しては、細胞で予想された標的分子の阻害剤を用いてクルクミンによるGLP-1分泌促進作用や血糖値上昇抑制作用が抑制されるかを検討することにより評価を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度の実験が効率よく進んだ結果、消耗品の支出が予定より少額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度と同様に細胞および動物実験に使用する物品費およびその成果を発表する旅費として使用する。
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