研究課題
昨年(平成28年度)までに、清酒(日本酒)に含まれる低分子オリゴペプチドと清酒の官能評価特性との関連性について、一部の低分子オリゴペプチドと吟醸酒の香味が相関していることを明らかにしてきた。また、米タンパク質のうちグルテリンの分子種による米粒内局在について解析を進めた他、米タンパク質分解機構の解明のための米タンパク質標品調製について条件検討を進め、米麹由来プロテアーゼの発現様式について検討した。UHPLC-MS/MS (Triple quadrupole mass spectrometer)およびQ-TOFMSを用いた酒類の低分子オリゴペプチド分析方法を一定のレベルで開発・改良した。今年度は、まず、米タンパク質の米粒内局在等解析について、再現性確認を行なった。具体的には、7品種の米の精米歩合別米粉末画分について、3年収穫年分のイムノブロット法による定量解析結果をまとめた他、免疫蛍光染色法による米粒(未登熟米)内のグルテリン可視化解析について、抗原賦活化法等の条件を検討した。これらの結果から、グルテリン分子種ごとの米粒内局在パターンがより詳細に明らかとなった。続けて、抗グルテリン抗体の特異性を再確認するため、大腸菌に5種類のグルテリン酸性サブユニットを発現させるための条件検討を行ない、SDS-PAGE後、イムノブロット法により抗体の特異性を確認した。本検討により、抗体特異性の観点から、イムノブロット法によるグルテリンの米粒内局在等解析の信頼性が担保された。精製グルテリン等の米タンパク質標品を用いたin vitroグルテリン分解試験において、グルテリン分解物の消長の様子を確認した他、清酒醸造工程の製麹・もろみ期間(固形物を含むもろみ全体及びもろみ液部)においてグルテリンが分解される様子を確認した。
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Cereal Chem.
巻: 95 ページ: 320 329
doi: 10.1002/cche.10036.
https://www.nrib.go.jp/data/seika/NewSeika.htm