トウヒ属は北半球の温帯以北の地域において優占する林業上重要な針葉樹であり、倒木上に実生が更新するという特徴をもつが、トウヒの倒木上更新に関わる生物間の相互作用に関しては不明な点が多い。近年、菌類による木材の分解様式である「腐朽型」が、倒木に生息する様々な生物に影響することが筆者らの研究により明らかになってきた。腐朽型には、リグニンが分解されて白色化する白色腐朽と、リグニンが分解されずに蓄積する褐色腐朽が知られている。 本研究では、倒木の分解に関わる菌類群集とその分解機能に注目し、トウヒ実生の倒木上での更新に関わる生物間相互作用に及ぼす影響を明らかにする。
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