研究課題
種子食性昆虫が樹木の更新に与える影響は限定的だとされてきた(Crawlay 1992).しかし,植物の形質を介した間接効果が,直接的な2種間相互作用による予想とは,生態学的・進化学的に異なる結果を生み出すことが明らかになってきた(Ohgushi et al. 2007).本課題では,まず,袋かけによって,果肉食性昆虫による加害,寄生蜂による寄生,種子食性昆虫による加害,および鳥類による摂食を除去し,それぞれが果実を中心とした間接相互作用網に及ぼす影響を,解析的に明らかにすることを目的とした.次に,3年にわたる期間,モチノキの分布状況が異なる複数の調査地での調査,およびSSRマーカーによる遺伝解析により,森林の空間構造が間接相互作用を通じて種子散布に与える影響の解明を試みた.また,近縁種が創り出す間接相互作用網の解明や,同様の系の探索を試みた.本年度は,最終年度として,春と冬の果実のサンプリングによる果実色,種子の生死,モチノキタネオナガコバチの生残幼虫数の調査を行った.さらに,前年までの調査で明らかになった,新寄主についても,同様の調査を行った.また,調査の過程で明らかになった,ブナ堅果についての間接相互作用網についての調査も行った.結果,近縁種の新寄主が明らかになり,査読付きジャーナルに受理された(Matsuo and Takagi 2016).また,ブナ堅果についての調査の過程で,小規模林分におけるブナの豊凶特性と野生動物との関係が明らかになり,査読付きジャーナルに受理された(正木,長岡,高木 2017).
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件)
Journal of Developments in Sustainable Agriculture
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環動昆
Journal of the Entomological Research Society
巻: 18 ページ: 1-5
Japanese Journal of Systematic Entomology
巻: 22 ページ: 175-178