本研究では、毎木調査による樹木個体データ(個体位置・サイズ・形質)と、林床に設置したリタートラップによる落葉の現存量と樹種構成のデータ、さらにリターバックによる落葉分解実験とを組み合わせることにより、樹木群集における葉の生産・散布・分解過程の統合的な推定を目的とした。本研究の結果、落葉リターの量と樹種構成は、森林群集における各樹種の空間分布パターンと落葉散布パターンに強く規定され、林床の局所レベルの落葉プールは2~3樹種程度で優占されていることが明らかとなった。さらに、多数の樹種による落葉リターの混合は、林分内の分解速度の空間的な不均一性を緩和するよう作用する可能性が示唆された。
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