研究課題/領域番号 |
26850110
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
鈴木 智大 静岡大学, 技術部, 技術職員 (10649601)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | キノコ / プロテアーゼ活性 / スギヒラタケ |
研究実績の概要 |
酵母two-hybrid法を用いたスギヒラタケレクチン(PPL)と相互作用のある蛋白質の探索を行い、得られた候補タンパク質の酵母を用いた異種発現を順次行なった。その結果、候補タンパク質の1つが、担子菌で異種発現させたrPPLと混合するとプロテアーゼ活性を有することを見出した。このことから本プロテアーゼ活性は、スギヒラタケ中に存在する微量のプロテアーゼのコンタミネーションの可能性ではないことが証明された。 また、プロテアーゼ活性試験を行っていくと、PPL単独でもプロテアーゼ活性を示すことがあり、その時のMALDI-TOF-MSの解析結果ではm/z 13,000付近に夾雑タンパク質のピークが確認される。そのため、このタンパク質 (PP-13000) がプロテアーゼ活性に関与している可能性が示唆された。そこでPP-13000の精製方法の確立と構造解析を行うこととした。精製にはSuper Octylを用いた逆相クロマトグラフィーを用いた。その結果PP-13000の単離に成功した。また単離したPP-13000を担子菌にて発現させたrPPLと混合し、insulinを基質としたプロテアーゼ活性試験を行った結果、基質をN末端、C末端の両方から切断する活性を示した。現在、精製したPP-13000の一次アミノ酸配列の決定・遺伝子クローニングを試みている。 スギヒラタケレクチンの抗体作成のため、PPLとマンガンペルオキシダーゼ (MnP) を融合させ担子菌(Phanerochaete sordida)を用いた細胞外分泌異種発現系の構築を行うことで、スギヒラタケレクチンの大量発現系の構築を試みている。 その他、スギヒラタケのゲノム及びトランスクリプトームのデータを用いて、ユーザーが利用しやすいBLAST検索・キーワード検索・Gene ontology tree等を実装したデータベースの構築も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酵母two-hybrid法によるスギヒラタケレクチン(PPL)と相互作用のある蛋白質の探索の結果、rPPLと候補蛋白質を混合することでのプロテアーゼ活性が確認された。この結果から、本プロテアーゼ活性はスギヒラタケ中に含まれる他のプロテアーゼの微量なコンタミネーションの可能性ではないことが証明され、非常に大きな進歩であったと考える。しかし、そのプロテアーゼ活性は基質をN末端側から切断する活性しか確認できていない。現在、本候補蛋白質は酵母で異種発現させており、タンパク質のコンフォメーション・糖鎖修飾が異なるためと考えており、今後PPLと同様に担子菌での発現を試み必要がある。またもう一つのアプローチである、PP-13000の精製方法の確立にも成功しており、その一次アミノ酸配列の解明のために今後有効に活用できる。 PPLの抗体に関してはPPLの大量発現系の構築には至っていないが、今後Native PPLの大量精製も行う。 また、別途遺伝子情報に関してはデータベースの整備も行ったため、上記の研究で得られたアミノ酸配列から、遺伝子情報・アノテーション・発現プロファイルを検索することが可能となった。 上記結果から、プロテアーゼ活性の再現に関しては進展しており、データベースの構築等の作業も進展していることから、概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
酵母two-hybrid法によるスギヒラタケレクチン(PPL)と相互作用のある蛋白質の探索で得られた候補蛋白質は、担子菌を用いた異種発現系の構築を試み、プロテアーゼ活性の再現を試みる。またPP-13000は、一次アミノ酸配列及び遺伝子クローニングを試みる。 また,その蛋白質分解活性の基質特異性について、様々な蛋白質、ペプチドの分解をMALDI-TOF-MSあるいはESI-TOF-MSを用いて解析する。また、発現した致死性毒物質とレクチンのアミノ酸変異を行い、構造と活性の相関を検討する。 PPLの抗体に関してはPPLの大量発現系の構築を行う。また同時にNative PPLの大量精製も行うことで、抗体の作成を試みる。PPL抗体を作成後は、複合体の投与検体において、BBB表面にレクチンが存在するか否かを免疫染色によって確認する。更なるメカニズム解明のため、致死性毒物質とレクチン複合体がBBB以外のどの器官に作用しているか、また実際のスギヒラタケの生体内ではどの組織細胞に局在しているかを調べる。
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