研究実績の概要 |
ササウシノシタ親魚に対する栄養強化剤としてビタミンA を添加することでその産卵量が増えるか調べるため、おとひめEP1にビタミンAを強化した餌を給餌した区とビタミンAを強化していない区を設定し、浮上卵数の違いを7月から10月まで4ヶ月間にわたり継続的に70日間調査した。その結果、産卵量はビタミンAを強化した試験区の方で一日平均約4884±966粒(平均±標準誤差)、強化していない試験区で約1563±275粒(平均±標準誤差)であり、統計的に有意にビタミンAを強化した餌料を給餌した試験区で産卵量が多いことを明らかにした(Mann-Whitney’s U test, p<0.01)。また、ササウシノシタ胚からクローニングしたsouthpaw, lefty, pitx2遺伝子のホールマウントin situ法での発現解析を行い、他魚種で報告されている部位で同様の発現が確認でき、ササウシノシタにおいてもこれらの遺伝子が左右性形成に関与していることが示唆された。また、それらの遺伝子の機能解析を行うため、ササウシノシタsouthpaw、pkd2、lefty, pitx2についてcrisper/cas9のガイドRNAを作成し、ササウシノシタの1cell~2cellsのステージでCas9発現ベクターと共にインジェクションを行った。しかしながら現在のところ遺伝子の機能欠損した個体は見つかっておらず、さらなる条件の検討が必要であると考えられた。
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