バラスト水を介した移動分散が懸念されるマハゼの集団構造を明らかにするため、ミトコンドリアDNA分析とRAD-seqによる解析を行った。ミトコンドリアDNA分析では、日本国内に軽微な遺伝的分化が生じていることが明らかとなった。海外侵入集団の解析では、北カリフォルニア侵入集団の起源が東京湾であることが示されたが、南カリフォルニアとメルボルンの侵入集団の起源を推測することはできなかった。RAD-seq解析では、太平洋側と日本海側に対応した遺伝的分化が検出された。このような地理的距離と関連した集団構造は、バラスト水による遺伝的撹乱が生じていないことを示唆している。
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