本課題はツノナシオキアミより新たに見出された8-ヒドロキシエイコサペンタエン酸(8-HEPE)の代謝経路および生理作用解明を目的に、1)水産資源中の8-HEPE含有量解析、2)哺乳動物および海洋生物における8-HEPE代謝経路解析、3)8-HEPEの生理作用解析に取り組んだ。 オキアミ2種、魚6種、エビ4種、フジツボ1種における8-HEPE含有量の解析を行い、8-HEPEが南極オキアミ、ツノナシオキアミ、アカエビ、クルマエビ、ミネフジツボに含有される成分であることを明らかにした。8-HEPEは甲殻類特有の化合物であることが示唆された。 8-HEPEの代謝(合成)に関しては、マウス皮膚よりクローニングしたリポキシゲナーゼ(Alox8)によるEPA 8位炭素の水酸化について、培養細胞を用いて検討したがAlox8発現細胞における8-HEPEの産生は認められなかった。Alox8のEPA 8位炭素水酸化への寄与は低いと考えられた。 培養細胞およびマウス試験による8-HEPE生理作用解析を行い、8-HEPEがペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)を介して、脂質分解促進、グルコース取り込み促進、脂肪細胞肥大抑制、肝臓中性脂肪抑制、血中中性脂肪抑制に働くことを明らかにした。
|