研究課題/領域番号 |
26850138
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
西川 邦夫 茨城大学, 農学部, 准教授 (00726820)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 直接支払 / 担い手 / 個別経営 / 集落営農組織 / 地域農業 / アメリカ農業 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、水田農業の担い手に対して直接支払がどのような影響を与えているか、地域別・組織形態別比較と、国際比較という2軸から接近することである。平成27年度も、国内は茨城県筑西市、山形県鶴岡市、広島県世羅町でフィールドワークを継続した。筑西市については、飼料用米に対する交付金が地域農業に与えた影響とその背景について、学会報告を1回行った。鶴岡市については、転作交付金が地域農業に与えた影響を中心に、これまでの研究成果をまとめたものを著書として1点出版した。2016年4月現在印刷中である。世羅町については、集落営農組織における交付金と経営多角化・新規就農者の導入との関係を中心に、学会誌1点、分担著書1点を発表した。国際比較については、EUの共通農業政策(CAP)を分析した論文の翻訳を1点発表した。また、ヨーロッパ中心という当初の計画に加えて、アメリカのカリフォルニア州を対象とした研究を開始した。TPP協定大筋合意という環境の変化を踏まえ、日本の稲作に大きな影響を与えるカリフォルニア州との比較は社会的意義が大きいと考えたからである。昨年度はカリフォルニア米協会(California Rice Commission)・稲作農家に対して1回調査を行い、2014年農業法制定後の変化について把握した。なお、2016年4月にもフォローアップ調査を1回実施している。カリフォルニア米協会からは調査に対して協力的な態度を得ており、今後も調査を継続し、研究成果の公表へとつなげていきたい。なお、昨年度は自身の研究成果及び日本の農業政策の海外への紹介にも取り組み、アメリカ・ワシントンDCを中心とした講演の実施、食料・肥料・技術センター(Food & Fertilizer Technology Center、本部は台湾)のウェブサイト上での農林水産省文書の英訳も行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付金が実際の地域農業でどのような役割を果たしているかという点が明らかになりつつあり、日本の直接支払政策の性格規定につながることが期待される。また国際比較の点からも、確実な調査地を確保したことで今後の研究の大幅な進展が予想できる。
|
今後の研究の推進方策 |
国内調査については、これまでと同様に3地域の定点観測を継続していく。その際、地域農業に大きな影響を与えつつある飼料用米作付に対する交付金に特に注目していきたい。海外調査についてはアメリカ・カリフォルニア州における調査を継続するとともに、現地研究者との研究ネットワーク形成にも取り組みたい(2016年4月にカリフォルニア州立大学デイビス校・農業持続可能性センター(UC Davis, Agricultural Sustainability Institute)を訪問し、意見交換を実施した)。
|
次年度使用額が生じた理由 |
第1に、他予算と併用して研究活動を実施したために、本科研費からの支出が少なくなった。第2に、2016年度は海外調査を本格的に実施する予定であり、それに回すために予算執行を節約した(実際に、2016年4月にアメリカ調査を実施した)。
|
次年度使用額の使用計画 |
2016年度は海外調査を4月・9月に実施する予定であり、支出額が大きくなる予定である。また、国内調査の継続によっても予算を執行する予定となっている。
|