本研究によって得られた成果は以下の通りである。①日本の直接支払政策の一般的な機能として、農業者の作付選択に対する強い誘導が認められた。②集落営農組織においては、構造変動の地域性を反映した組織の目的に応じた資金の使途が見られた。③個別経営については、収益性向上のために単価の高い作物の作付(特に新規需要米)を選択する傾向が見られたが、使途の特徴及び地域的な違いは確認できなかった。④以上を生産要素価格との関係で整理すると、日本では欧米の様に直接支払が地代を引き上げる効果は認められない。一方で、集落営農組織を中心に雇用機会の確保に充てられていることから、賃金の引き上げ効果があると解釈できる。
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