平成28年度の研究計画では、研究活動の重点を、(1)現地調査の実施、(2)論文の執筆・発表に設定した。 (1)に関しては、2016年6月29日~7月5日に中国において、長春と北京の両地でアグリビジネス及び食糧需給に関する調査を実施した。長春では、2013年以降、東北地域の主産地で起きているトウモロコシの生産過剰とそれが国有食糧企業に与える影響について、中国糧食協会・トウモロコシ分会の専門家及び現地企業の経営者と意見を交換した。北京では、中国農業科学院、全農北京事務所などを訪問し、2016年から実施する農業供給側改革及び国有企業改革政策の効果についてインタビュー調査を実施した。 (2)に関しては、10月に中国・福州で開催する the 2016 CAER-IFPRI Annual Conferencにて、How China’s SOEs Became Transnational Corporations: A Case study of COFCO を題する学術報告を行った。また、2017年3月に、カナダ・トロントで開催するthe Association for Asian Studies 2017 Annual Conferenceに参加し、これまでの研究成果をもって、各国の中国研究者と意見交換を行った。 以上の調査と学会活動で得た知見をまとめた研究成果「中所得段階の食糧需給問題」は、すでに執筆を完了し、2017年に田島俊雄・池上彰英編『現代中国の農業・農村問題』(東大出版会、2017年刊行予定)の一部として刊行されることが決まっている。
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