研究課題/領域番号 |
26850145
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研究機関 | 国立研究開発法人水産総合研究センター |
研究代表者 |
若松 宏樹 国立研究開発法人水産総合研究センター, 中央水産研究所, 研究員 (90722778)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 風評被害対策 / 震災復興 / ワカメ市場 |
研究実績の概要 |
本年度の目的はPOSデータを用いて日本の10地域(北海道、東北、関東外郭、首都圏、中京、北陸、近畿、中国、四国、九州)のAIDSモデル需要分析で風評被害を受けている地域を特定し、前年度に得た有効な風評被害プロモーションを小売店において実施することであった。 需要分析の結果、風評被害を受けて地域差が出ておらず、またワカメ市場の需要構造が震災前後で変わっていないことが判明し、風評被害を明確に受けている地域を特定できなかった。生産者の風評被害報告は、販路が震災によって一度途絶えたために再開しても新たな取引先との関係を切れなかったことと、宮城産の安価なワカメが非正規ルートで流通していたことが重なり、買い手がつかなかったようであることが分析結果と聞き取り調査の結果判明した。 また協力を得ていたイオンリテールでは、プロモーションを行う7月になって急遽イオン内部の上層の決定によりプロモーションをキャンセルされた。その後新たにPOSデータが利用可能な大規模小売店で風評被害対策プロモーションに協力してくれる店舗を探しているが、まだ見つかっていない。 風評被害対策として、その代わりにウェブ調査を実施し、風評被害対策として情報以外にもラベルが有効であることを突き止めた。また築地のタラ・スケトウダラ市場のデータを使い、需要分析を行うことによって能動的な情報収集行動が風評被害を緩和することを突き止めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
風評被害対策プロモーションを行い、そのデータを入手するはずであったが、実施直前のキャンセルにより、代替店を探す作業に入ったがまだ見つかっておらず、期間内にプロモーションを行うことは困難となった。しかし、ワカメ市場での風評被害があまり見受けられないということが判明しており、またその他の水産物などにおいて、風評被害対策となる分析を行い結果を出しているため、当初実施予定だったプロモーションを代替する成果は出しているため、風評被害対策研究としては概ね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き風評被害対策プロモーションの可能性を追求するとともに、今年度までに風評被害対策に有効な情報などが判明し、その研究成果の蓄積もできてきたため、今後は国内外学会において発表することで研究成果の情報発信、共有に務める。また学術誌に投稿することで同じように情報発信共有に務める。
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次年度使用額が生じた理由 |
風評被害対策プロモーションを行わなかったことにより、プロモーション効果測定のためのPOSデータを購入しなかったことが大きな要因となっている。また、同時に進行している農林水産技術会議のプロジェクトによってカバーされている支出もあり、繰越が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に風評被害対策プロモーションが行えることになった場合にPOSデータの購入費用に当てる。また国際学会などにおいて情報発信を行う。また国際誌に出版が決まった論文の論文掲載料と、英文校正料など。そして現在存在するPOSデータのデータクリーニングなど研究補助員を雇用して、研究推進速度を加速し、情報発信につなげるため。
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