本研究は、コメ自給率の向上を目指す東アフリカにおける灌漑稲作支援の地域的影響について、生産者組織または成員と周辺住民との取引関係を主軸に考察することで、より広い視野から稲作支援の方途を提案することを目指したものである。 結果として、土地および資本については周辺住民との個人間取引は少ない一方、労働や技術の取引においては一定程度の波及効果がみられた。土地・資本の取引が限定的になる一要因として個人間取引では契約不履行のリスクが高いことが指摘でき、生産者組織の存在がこれを低めることが見いだされた。よって組織によるリスク軽減機能を活かすことが稲作支援の正のインパクトを高めることに繋がると考えられた。
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