研究課題/領域番号 |
26850150
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
森谷 慈宙 弘前大学, 農学生命科学部, 助教 (30539870)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地中熱 / 熱交換井 / 融雪 |
研究実績の概要 |
青森県のような雪国では、低ランニングコストによる融雪方法の確立が模索されている。本研究では、ランニングコストを抑えるために熱交換井の改良を行い、その効果を検討するものである。改良点は、熱交換井の長さを短縮する代わりに、杭表面に数センチメートルの孔を施した。これにより、長さの短縮に伴う採熱効率の低下を抑えることが期待できる。この熱交換井は、鋼管杭に何箇所か孔を施してあり、そこから地下水が流入するものであるが、井戸孔と同じ仕組みである。ただ、井戸はあらかじめボーリングを行ってアクリル製のパイプを挿入するが、この熱交換井は丈夫な鋼管であり、埋設しながらボーリングなしで挿入できるため、低い設置コストが可能である。また丈夫なため、スクリーン部分の孔径も大きくすることができ、地下水採水に伴う目詰まりが改善できる可能性がある。 一方、熱交換井のみでは、採熱量は低く、融雪能力に対して限界が見られる。そこで、補助熱源としてのヒートポンプの性能を評価するため、エアコン(圧縮ポンプ1kw程度)を分解してヒートポンプをむき出しにした装置を用いて、加温能力の測定を行った。この結果、採熱側に低温の水源を用いた場合でも、水量を増やせばCOPが3程度の加温能力を有すことが分かった。 本課題ではヒートポンプレスを謳っているが、本熱交換井とヒートポンプを組み合わせることにより、低コストで耐久性のより高い融雪システムを提案できる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はボーリング孔を用いて地下水位等を測定した。また、本研究ではヒートポンプレスでの検討であるため、対照区であるヒートポンプを用いた検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に続き、対照区である地下水を用いたヒートポンプの加温効果についての検討を行う。次にヒートポンプを用いない場合との加温能力の比較を行っていくつもりである。最後に、加温能力を向上させるだけでは、融雪面直上に空間が生じて、融雪能力が低下してしまう問題が生じる。熱交換井やヒートポンプの性能向上のみを達成するのではなく、融雪側にも工夫を施す必要がある。例えば、融雪パイプを全てポリエチレン製にするのではなく、局所に金属製の熱伝導率の高い材料を用いる。すると金属パイプ周辺が優先的に融雪される。昼間に晴れた場合、今まで積雪で反射していた太陽光が、部分的な融雪面にまず吸収され、平面全体に熱が伝導されて融雪効率が改善する。以上な工夫も提案しながら報告していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
見積りでは学会発表等の旅費を計上していたが、発表に至るまでの十分なデータが取れていない。このため、次年度使用額は2016年度の発表に充てる予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
学会発表の参加費や旅費に充てる予定である。
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