平成27年度での研究では、不とう性管であるRC管に内面載荷法を適用し、その有効性を確認してきた。しかし、その有効性はひび割れを想定した人工的な溝を付与したRC管に対してであり、実際の荷重によるひび割れとは異なることが考えられた。そこで平成28年度での研究では、外圧試験機によって所定の荷重を与えた管に対して評価を実施した。また、製造業者の異なるRC管が採取データに与える影響についても併せて検討した。その結果、内面載荷法は、荷重-変形量の傾きでひび割れを検知でき、その剛性は断面方向で異なることがわかった。一方、RC管は接合された状態で埋設されているが、通常時の接合が実施されている場合は、接合による管口の拘束は、採取データへ影響しないことがわかった。そのため、管口の拘束による剛性の変化は生じないことがわかった。最後に、RC管のメーカー間および製造時の製品規格が剛性に及ぼす影響について検討した。出荷されるRC管は、製品規格値を満足したものである。ただし、製品規格値を満足するということは、性能において最低基準値以上を有しているとのことである。そのため、製品の製造時における安全率の設定は各社によって異なる。また、RC管の製品規格は随時更新され、現在機能低下が懸念されているRC管の製品規格は昭和40年代の値のもとで製造されたものである。これらの条件のもとで、管のRC剛性を評価した結果、RC管の剛性は製造業者や製造年度によって異なることを確認した。 以上を総括すると、内面載荷法では、RC管の軸方向における剛性特性を評価することができ、製造時の状況(製造業社、製造時の規格)と評価時の状況(供用年数)を考慮したうえで健全度評価を実施すべきであることがわかった。
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