H27年度研究実施計画をもとに研究を進め,排水過程において土壌試料の気相率が増加する様子を,リアルタイムで音響測定することに成功した.研究成果の一部は,H27年度土壌物理学会大会にてポスター発表により報告した. 内径5cm,長さ2.5cm,体積50cm3の円筒容器に湛水し,鳥取砂丘砂を流し込みながら充填した.そして,試料の底面にメンブレンフィルターを取り付け,-3.2,-3.7,-4.2,-4.7kPaの負圧を順次加えて,試料から排水させた.これらの負圧条件で排水が完了し,定常状態に達するまでに2~13時間を要した.排水をフラスコで受けるとともに,排水量を電子天秤で1秒間に1回測定した.1gの排水量を間隔の目安として音響測定を繰り返し行った.すべての排水過程が終了した後,質量測定結果から気相率の時間変化を出し,音響測定の結果と比較した. その結果,両者はよく一致した.相対誤差は最大で16%であった.排水速度は初期に1g/min程度であり,2~13時間でゼロまで減少した.このような排水速度の条件では,水が流れていない場合とほぼ同じ精度で音響測定できることが明らかとなった. 本研究の成果は,封入空気の発生メカニズムの解明や,土壌と大気のガス交換現象を把握する上で役立つと考えられる.
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