日本の農業就業者は高齢化が進む一方で、農林水産省が立ち上げた『農業女子プロジェクト』に伴い若手女性農業者の増加が期待されている。このような背景において、農業機械では、安全性向上のみならず、快適性の向上も重要な課題となっている。これまで本研究室では、電気トラクタ(1号機)の研究開発を進め、大幅な省エネ効果を確認した。電動化のメリットは省エネ効果だけでなく、エンストがないことで、機械操作の不慣れな作業者も操作しやすく、振動や騒音の低減により、操縦者や周辺住民などの身体的心理的負担軽減にも効果が期待できる点が挙げられる。1号機においては、連続稼働時間が短い点に課題があった。本研究では、エネルギ損失を可能な限り抑えるため、歯車やギアで構成される動力伝達機構を排除し、モータ回転数制御のみで速度制御を可能にした電気トラクタ2号機を開発した。その性能を明らかにするとともに、振動、騒音の低減効果について検証した。 振動および騒音面から快適性の検証をするために、エンジントラクタ、電気トラクタ1号機においても、同様の振動、騒音計測を実施した。エンジン又はモータ停止時、ニュートラルギアでアクセル全開時、低速3段階、高速3段階で走行時の振動、騒音を計測した。 エンジンからモータに改造(1号機)、さらにトランスミッションを削除したこと(2号機)で振動が大幅に軽減したことが確認できた。走行時の耳元騒音のOA値の平均も、エンジン95dB(A)、1号機74dB(A)、2号機61dB(A)となり、大幅に軽減したことが確認できた。
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