研究課題/領域番号 |
26850162
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
平良 英三 琉球大学, 農学部, 助教 (20433097)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 近赤外分光法 / 製糖 / 工程管理 |
研究実績の概要 |
本研究は安定的なサトウキビ製糖工程管理の確立を目的として,分光技術を併用した高精度・迅速品質評価技術の開発と砂糖結晶化プロセスの最適化を検討することを目的とし,次の項目の検討を行う。1.可視-近赤外装置,赤外分光装置による工程サンプル分析技術の開発 2.劣化原料混入による各工程の品質変動調査 3.劣化原料が結晶化工程に与える影響を解明する以上の点を明らかにし,効率的な製糖技術を確立するための知見を得る。 H26年度は製糖工場に赤外分光装置および近赤外分光装置を設置し,製糖プロセスの各工程で得られるサンプルの分光スペクトルを取得した。ここで得たサンプルについて従来からの製糖分析法による糖度などの成分を定量した。これらのデータをケモメトリックスによって分析し,スペクトルから糖度などを推定する検量線を作成した。PLS回帰分析により糖度推定のための検量線を作成した結果,最初汁,シラップ,白下,糖蜜サンプルのサンプルでは測定精度(SECV)が1%以下となり,工程中のサンプルを精度よく分析できることがわかった。また,糖度と可溶性固形分(ブリックス)の比である純糖率についても,検量線作成が可能であることがわかった。純糖率は劣化サンプルの指標として従来から利用されているが,本研究の調査結果から,同一日における糖度に変動が少なくても純糖率は変動していることがあることが明らかとなった。分光技術により糖度や純糖率の推定が可能であることから,劣化原料の混入程度を迅速かつ非破壊的に分析できると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標である検量線の作成を行いつつ,生産現場での調査を遂行することができた。赤外分析については,現地での装置異常の問題が発生し,十分なサンプル取得が出来なかったが,少数データからいくつかの基礎的な情報をえることができた。
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今後の研究の推進方策 |
製糖現場での調査・打合せを綿密に行い,現場での確実なデータ取得に努める。また,データの解析についてコペンハーゲン大学のQ&Tグループと連携し,より確実な研究目標の達成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では,物品費として約180万円を申請していたが,新規導入した赤外分析装置ならびに,実験に必要な試薬や消耗品類の価格を抑える事ができたことにより,次年度への繰り越しが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は,データ取得と解析が中心になるが,その実験試薬費ならびにデータ解析のためのアルバイト費用に使用する予定である。
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