研究課題/領域番号 |
26850164
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研究機関 | 独立行政法人農業環境技術研究所 |
研究代表者 |
石原 光則 独立行政法人農業環境技術研究所, その他部局等, 研究員 (60452166)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 異種衛星センサ / 高解像度衛星 / 分光植生指数 / 大気補正 / 農地生態系 |
研究実績の概要 |
日本国内の農地生態系において,作物の生育状況や炭素吸収量を異種センサによる高解像度衛星データを用いて高頻度で広域評価することを目的とする。本年度は,地上観測から得られた連続分光反射率データとその地点での異種センサによる高解像度衛星データの観測値を比較して,センサ特性や観測結果の一貫性について検討した。4種類の異なるセンサ(WorldView-2,GeoEye,RapidEye,ALOS/AVNIR-2)により取得された茨城県の真瀬サイト(水田)における高解像度衛星データを9シーン収集した。これらのデータから算出した分光植生指数(Normalized Difference Vegetation Index, NDVI)と反射率を,地上観測データと比較して精度検証を行った。その結果,高解像度衛星データのデジタルナンバーや放射量から算出したNDVIは80-90%程度の誤差があることが明らかとなった。一方,高解像度衛星データに対して大気補正を行うことで,NDVIの誤差は20-30%程度に低減した。また,地上観測と高解像度衛星データからの分光反射率は大気補正を行うことで概ね一致することが明らかとなった。本研究では,3種類の大気補正手法(QUAC,6S,FLAASH)を使用したが,FLAASHと比較するとQUACと6Sの精度が高かった。以上の結果から,異種センサによる高解像度衛星データを用いた場合でも,大気補正を行うことにより地上観測での反射率や植生指数を精度良く再現可能であり,異種光学衛星センサから得られる複数の高解像度衛星データを一体的に用いることが可能であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,主に異種センサによる高解像度衛星データを使用する場合のセンサ特性や観測結果の一貫性についての検討を目的とした。当初予定していた異種センサの高解像度衛星データと地上観測データは順調に収集でき,センサ特性や観測結果の一貫性についての検証を達成しており,現在のところ本研究課題はおおむね順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに提案されている様々な作物生産性の広域評価手法を異種センサによる高解像度衛星データに対して実行し,作物生産性の広域評価の検討を行う。特に,総一時生産量(Gross Primary Production, GPP)の推定に関して異種センサによる高解像度衛星データを用いて行った場合の精度評価を行う。具体的には,(1)地上観測から得られたGPP,気象,分光反射率データ等を用いて,高解像度衛星データからGPPを推定するモデルを検討する。(2)上記で有効性が確認された手法を用いて異種センサによる高解像度衛星データからGPPを推定する場合の一貫性について検討する。
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