研究実績の概要 |
日本国内の農地生態系において,作物の生育状況や炭素吸収量を異種センサによる高解像度衛星データを用いて高頻度で広域評価することを目的とする。本年度は,地上観測から得られた総一次生産量 (Gross Primary Production, GPP),連続分光反射率,気象データを用いて,高解像度衛星データからGPPを推定するためのモデルを検討した。さらに,有効性が確認されたモデルを用いて異種センサによる高解像度衛星データからGPPを推定する場合の一貫性について検討した。初めに,茨城県つくば市の水田サイトにおけるGPPを,地上観測の分光反射率から算出したNDVI (Normalized Difference Vegetation Index), GRVI (Green-Red Vegetation Index), EVI (Enhanced Vegetation Index), SAVI (Soil-Adjusted Vegetation Index)の4種類の植生指数と,気温と全天日射量の気象条件を組み合わせて推定した結果,GRVIと全天日射量を用いることにより精度よくGPPを推定することが可能であった。2010年から2012年のデータで検証したところ,観測年による誤差は少なく85%以上の精度で推定可能であった。これらの手法をこれまでに取得した異種センサの高解像度衛星画像14シーンに適用した結果,地上観測のGPPを精度良く推定することが可能であり,さらに周辺の水田のGPPの空間変動を提示することが可能となった。さらに,海外の水田サイトの高解像度衛星データでも同様の推定を行い,GPPの時空間変動を提示することが可能となった。
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