研究課題
本研究では、グレリン分泌刺激因子としての脂肪酸の新たな機能性を見出し、内分泌の賦活化を介した反芻家畜、特にエネルギー要求量の高い乳牛への新たな油脂給与技術の開発に貢献することを目的とする。申請者は、中~長鎖脂肪酸摂取がグレリン分泌を刺激し、長鎖脂肪酸の効果は脂質代謝調節作用のああるアミノ酸であるメチオニンによって増幅されることを明らかにした(Fukumori et al., Domest. Anim. Endocrinol. 2012, 2013)。さらに、長鎖脂肪酸とメチオニンの併給は泌乳牛の乳生産を低下させることなくインスリン感受性を高めることを明らかにした(Fukumori et al., J. Anim. Sci. Accepted)。このように反芻家畜への脂肪酸給与は内分泌機能変化を介して生産性向上に寄与する可能性があるが、個々の脂肪酸レベルでの反応やメチオニンの交互作用を明らかにしていない。このため本研究では、個々の脂肪酸に対するグレリンの分泌応答性を明らかにすることを目的に、ヒツジの十二指腸内に脂肪酸注入を行う予定である。現在は、動物実験、解析を行っている段階である。
3: やや遅れている
所属機関の変更により、研究の実施体制を整えるために時間を要した。また、脂肪酸の投与方法として、静脈内投与と比較してより本来の飼料摂取状態に近い形で試験を行うため、当初の予定を変更し、十二指腸内注入に変更した。このため、ヒツジの十二指腸内にカニューレを装着し実験を実施している状況である。
現在、十二指腸カニューレ装着ヒツジ4頭を用いて各種脂肪酸の十二指腸内注入がグレリンをはじめとする消化管ペプチドや代謝ホルモン分泌に及ぼす影響について動物実験、分析およびデータ解析を行っている。結果の一部としては、消化管ペプチドであるGLP-1分泌は多価不飽和脂肪酸の注入によって促進されることが傾向として見出された。脂肪酸とGLP-1分泌との関連性については、培養細胞などを用いた研究において報告例があるが、反芻家畜のin vivoにおける報告はない。このような新規性が高い結果をさらに詳細に解析することを検討している。グレリン分泌については現在、分析および解析を行っているところである。
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Journal of Animal Science
巻: accepted ページ: 未定
10.2527/jas2015-8868