研究課題
コリデール系雑種ヒツジを用いて各種単体脂肪酸の消化管への直接刺激が血漿グレリンや摂食抑制作用やインスリン分泌促進作用を有するグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の血漿濃度の変化を解析し、これら消化管ホルモン分泌に影響を及ぼす脂肪酸の選抜を行った。本試験では、脂肪酸の吸収部位であり、種々の脂肪酸レセプターが発現する小腸に直接的な刺激を行うために、供試ヒツジに十二指腸カニューレを装着した。各種単体脂肪酸をミセル化した乳化液を作製し、泌乳牛への脂肪酸給与レベルと同等となるように1日かけて乳化液を連続注入した。注入前後において、経時的に採血を行い、血漿消化管ホルモンおよび代謝産物濃度の測定を行った。その結果、血漿グレリン濃度の増加に対して経口摂取で効果があった中鎖脂肪酸や長鎖脂肪酸は、有意な増加を引き起こさなかった。グレリンは、栄養摂取状況に応じて主に第四胃で産生、分泌されるが、その分泌メカニズムは明らかにされていない。グレリン産生細胞の胃内分布から、吸収栄養素が血液内を循環することによって、グレリン分泌は変動することが考えられているため、本試験では、吸収部位である小腸への注入を行った。本試験で、脂肪酸注入に伴うグレリン分泌の変動が見られなかったことから、注入部位の検討ならびに長期的な注入の検討を行っていく必要がある。脂肪酸注入に伴い血漿グレリン濃度の変化は見られなかったが血漿GLP-1濃度は、長鎖不飽和脂肪酸注入時に増加することを明らかにした。
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Journal of Animal Science
巻: 93 ページ: 2778-2784
10.2527