研究課題
平成28年度は、平成27年度の研究成果である地域レベルでの牛白血病対策を、対象地域をさらに宮崎県内全体に拡大して行った。平成26年度に感染ウイルス量が少ない牛は、垂直感染の感染源とならないことを明らにしたが、感染ウイルス量が少ない牛と多い牛を決定する要因は明確ではなかった。本研究では、宿主が保有する抵抗性遺伝子DRA*0902に着目し、約10%の牛がこの遺伝子を保有すること、保有する牛がほぼ100%の確率で感染ウイルス量を20 copies/50 ng以下に制御できることを明らかにした。本研究成果はJournal of Veterinary Medicine誌に投稿済で審査中である。また、宮崎県内各地で同定した牛白血病ウイルス遺伝子を用いて、侵入経路の推定、病原性や発症との関連性を明らかにするため、ウイルスのenv遺伝子をターゲットした遺伝子型タイピングを行った。本研究の結果、発症率との明確な関係は不明なままであったが、遺伝子型I型が宮崎県内では、そのほとんどを占めることを明らかにした。この情報は、今後の県内における牛白血病対策に有用なものになると思われる。なお、本研究成果はJournal of Veterinary Medicine誌に報告した。これまでの結果から、感染ウイルス量が一定以下の牛が水平および垂直感染の感染源とならないことがわかってきた。本法を利用するためにはリアルタイムPCRによる定量が必要となる。しかし、リアルタイムPCRは検査機械および消耗品が高価なこともあり、より安価な機械および消耗品で実施できる必要がある。本年は、その同定法の開発を開始した。今後は、この開発にも力を入れていきたい。
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The Journal of veterinary medical science
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1292/jvms.17-0055
山口獣医学雑誌
巻: 43 ページ: 13-20