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2014 年度 実施状況報告書

インフルエンザウイルスのニワトリへの感染を規定する分子基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26850178
研究機関北海道大学

研究代表者

岡松 正敏  北海道大学, (連合)獣医学研究科, 准教授 (00507163)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードインフルエンザウイルス / ニワトリ / カモ / レセプター / シアル酸糖鎖
研究実績の概要

自然界でカモによって維持されているインフルエンザウイルスがニワトリへ馴化するメカニズムを明らかにするために、ウイルスレセプター特異性と宿主であるカモとニワトリにおけるレセプター発現を解析した。鳥から分離されるインフルエンザウイルスは、シアル酸とガラクトースがα2,3結合した糖鎖を認識する。ニワトリでの増殖の有無が確認されたさまざまな亜型のウイルスを用いて、多種のシアル酸糖鎖との反応性を糖鎖アレイにより解析した。その結果、カモから分離されたウイルスは、直鎖状で多分岐のα2,3シアル酸糖鎖を、ニワトリから分離されたウイルスは、フコース基および硫酸基を有するα2,3糖鎖に結合し、特異性が異なった。また、これらの特異性の違いは、亜型にかかわらず共通していた。特に、H5亜型のニワトリのウイルスは、フコース基を有するα2,3糖鎖を、H6亜型のニワトリのウイルスは、硫酸基を有するα2,3糖鎖に優位に結合したため、このような宿主レセプターを利用している可能性が明らかとなった。さらに、宿主の糖鎖レセプターの分布を明らかにするために、フコーシル化α2,3糖鎖を認識する抗糖鎖抗体KM-79と、硫酸化α2,3糖鎖を認識する抗糖鎖抗体MECA-79を用いて、ウイルスの増殖部位であるニワトリの気管およびカモの腸管を免疫染色により調べた。ニワトリの気管上皮細胞にKM-93により検出されるフコシル化糖鎖が検出されたが、調べた臓器にMECA-79は結合せず、硫酸化糖鎖が確認できなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、インフルエンザウイルスの糖鎖特異性をあきらかにすることおよび宿主の糖鎖レセプター発現を解析することを計画しており、これらを実施した。

今後の研究の推進方策

ニワトリでのインフルエンザウイルスの増殖に、ウイルスのレセプター特異性が関与していることが明らかとなった。計画に従い、他のウイルスタンパクの関与、特にノイラミニダーゼ分子の関与について解析していく予定である。また、硫酸化糖鎖の宿主での発現に関しては、糖鎖の発現に関わる宿主遺伝子や生化学的手法により、解析する予定である。

次年度使用額が生じた理由

国内在庫なしのため、2015年3月中に納品が完了しなかったため。

次年度使用額の使用計画

2015年4月に納品した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Potency of an inactivated influenza vaccine prepared from A/duck/Mongolia/119/2008 (H7N9) against the challenge with A/Anhui/1/2013 (H7N9).2014

    • 著者名/発表者名
      Chu DH, Sakoda Y, Nishi T, Hiono T, Shichinohe S, Okamatsu M, Kida H.
    • 雑誌名

      Vaccine

      巻: 32 ページ: 3473-9

    • DOI

      10.1016/j.vaccine.2014.04.060

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Potency of an inactivated influenza vaccine prepared from A/duck/Hong Kong/960/1980 (H6N2) against a challenge with A/duck/Vietnam/OIE-0033/2012 (H6N2) in mice.2014

    • 著者名/発表者名
      Nishi T, Sakoda Y, Okamatsu M, Kida H
    • 雑誌名

      Arch Virol.

      巻: 159 ページ: 2567-74

    • DOI

      10.1007/s00705-014-2107-2

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A chicken influenza virus recognizes fucosylated α2,3 sialoglycan receptors on the epithelial cells lining upper respiratory tracts of chickens.2014

    • 著者名/発表者名
      Hiono T, Okamatsu M, Nishihara S, Takase-Yoden S, Sakoda Y, Kida H.
    • 雑誌名

      Virology

      巻: 456-457 ページ: 131-8

    • DOI

      10.1016/j.virol.2014.03.004

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 糖鎖アレイを用いたカモとニワトリのインフルエンザウイルスのレセプター特異性2014

    • 著者名/発表者名
      岡松正敏, DE VRIES Robert, 日尾野隆大, 迫田義博, PAULSON C James, 喜田宏
    • 学会等名
      日本獣医学会学術集会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2014-09-09 – 2014-09-12
  • [学会発表] 糖鎖アレイを用いたカモとニワトリのインフルエンザウイルスのレセプター特異性2014

    • 著者名/発表者名
      岡松正敏, DE VRIES Robert, 日尾野隆大, 迫田義博, PAULSON C James, 喜田宏
    • 学会等名
      日本糖質学会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2014-08-10 – 2014-08-12

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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