研究課題
前年度までに、ブラディゾイト潜伏感染時におけるヒト線維芽細胞の遺伝子発現を次世代シークエンスにより網羅的に解析することで、ブラディゾイト潜伏感染細胞では強い抗ウイルス活性を持つ種々の自然免疫関連蛋白質遺伝子(OAS1およびISG15など、 I 型インターフェロン(IFN)に誘導されるもの)が強く発現していることを明らかにした。本年度は、トキソプラズマ潜伏感染によって刺激される宿主側の自然免疫パスウェイを特定し、原虫潜伏感染がもたらす宿主自然免疫シグナル亢進メカニズムを解明することを目指した。ゲノム編集を培養細胞に適用し、さまざまな自然免疫シグナル分子ノックアウト細胞を作出する目的で、哺乳類用CRISPR/Cas9システムベクターの一つであるpX330-U6-Chimeric_BB-CBh-hSpCas9を入手し、種々のシグナル関連転写因子の遺伝子配列をもとに設計したガイドRNA配列をこれに導入した。作出したベクターと、薬剤耐性マーカープラスミドのヒト線維芽細胞へのリポフェクション法での共導入を試みたが、導入効率が著しく低かった。そのため、作出したベクターが動作するかどうか確認するため、293細胞へ同様に導入し、薬剤選択を行った。いくつかの遺伝子で欠損を確認したため、現在ゲノム編集法をヒト線維芽細胞に適用すべく検討を行っている。
3: やや遅れている
ゲノム編集技術の導入・技術習得に時間を費やしてしまった。しかし、本年度検討したゲノム編集技術は今後の実験で大きな効力を発揮すると考えられる。
ヒト線維芽細胞への遺伝子導入技術として、ウイルスベクターを用いた導入方法を予定している。
平成28年度開催である第86回日本寄生虫学会大会が、今年度は年度をまたいで平成29年5月に開催されるため。
第86回日本寄生虫学会大会への参加費および旅費
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件)
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巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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