研究実績の概要 |
狂犬病ウイルスはマイナス鎖の非分節型RNAゲノムをもち、3'側からLeader-N-P-M-G-L-Traler遺伝子がコードされている。狂犬病ウイルス野外株119検体の全長ゲノムを解析することにより、Leader-N 5' CDSおよびM 3'UTRにRNAレベルで高度に保存されている領域が存在することが明らかになった。そこでこれら高度保存領域の機能を解析するために、前年度から引き続き、M 3'UTRにおいては結合する宿主蛋白質の同定作業および宿主蛋白質の結合領域を決定する作業を行っている。SP6 ポリメラーゼを用いて作製したM 3'UTRにビオチンを結合し、アビジンビーズを用いてM3'UTRに結合する蛋白質の分子量をSDS-PAGEおよび銀染色によって解析したところ、40kDa-220kDaにかけて複数の蛋白質が結合することが明らかとなった。M3'UTR領域の複数箇所をdeletionしたRNAを合成し同様の作業を行ったところ、3'UTRの中央領域に蛋白質が結合する配列が存在することが示唆された。また、3'UTRはmRNAの翻訳後の発現調節に関わることがあるため、FireflyのLuciferase レポーター遺伝子の下流にN,P,M,G,L遺伝子の3'UTRを挿入し、レポーターアッセイを行った。その結果。M 3'UTRはコントロールと比較してレポーターの発現量が低く、また、qPCRを用いた解析でもレポータ遺伝子の発現量の低下が確認されたことから、M 3'UTRはM mRNAの翻訳後の発現を抑制している可能性が示唆された。
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