Bartonella quintana(B.q)は塹壕熱の病原体として,第一次・二次世界大戦時に兵士に流行した細菌である。ヒトはB.qの唯一の自然宿主であるが,近年では飼育ザルからもB.qが分離されている。しかしながら,野生ザルにおけるB.qの保有状況やヒトへの病原性は不明である。 本研究では,野生ニホンザル45検体を対象にB.qの保有状況と遺伝子性状を解析した。その結果,B.qは13.3%(6/45)のニホンザルから分離され,既報のB.q株と異なるニホンザル独自の遺伝子性状であった。ニホンザル由来株を用いてヒト赤血球への感染性を検討したところ,赤血球へ接着・侵入している可能性が示唆された。
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