研究実績の概要 |
平成26年度には、炎症性結直腸ポリープ(Inflammatory colorectal polys; ICRP)の結直腸粘膜におけるToll様受容体(Toll like receptor)2および4の定量的遺伝子発現解析ならびに局在解析を実施した。 まずリアルタイムPCR法を用いたTLR2, TLR4の定量的遺伝子発現解析では、ICRP症例のポリープ病変では、TLR2, TLR4の遺伝子発現が健常犬の結直腸粘膜よりも増加していることが明らかになった。一方で、ICRP症例の肉眼的に正常な結腸粘膜でのTLR2, TLR4の遺伝子発現は健常犬のものと差が認められず、ポリープ病変に限局したTLR2, TLR4の遺伝子発現の上昇であることが明らかとなった。 TLR2, TLR4のICRP症例の結直腸粘膜における局在解析では、まずはじめに犬のTLR2, TLR4に交叉反応を示すことが報告されている抗体を用いて免疫染色を実施した。しかしながら、これらの抗体での特異的な染色は確認されず、免疫染色によるTLR2, TLR4の局在解析は実施困難であった。そのため、mRNAの局在解析を行うことのできるIn situ hybridization法を用いてTLR2, TLR4遺伝子の局在解析を試みた。その結果、TLR2, TLR4 mRNAともに特異的な染色像を得ることが可能であった。In situ hybridization法による解析から、TLR2, TLR4 mRNAはICRPの結直腸粘膜において腸粘膜上皮ならびに炎症細胞に局在していることが明らかとなった。現在、TLR2, TLR4 mRNAの組織切片上での発現量の定量化を行い、健常犬との比較を実施中である。
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