天井培養法により、犬骨髄中の脂肪細胞周囲に付着する細胞から、間葉系幹細胞を得た。この細胞は従来の犬骨髄間葉系幹細胞と比較し、幹細胞特性に優れており、骨髄脂肪細胞周囲細胞(BM-PACs)と命名した。BM-PACsは強力な組織修復因子である肝細胞成長因子(HGF)の分泌能に優れることを明らかにした。皮膚欠損モデルに対して、BM-PACsを局所投与したところ、投与後のBM-PACsにおけるHGF発現を認めた。また、BM-PACsを全身(静脈内)投与したところ、損傷部への遊走能を示した。以上から、炎症を伴う組織損傷に対するBM-PACsを用いた幹細胞療法は、HGFを介した組織治癒効果が期待できた。
|